2022/12/16

ナガオカCL120「アルジャント」vs. オーディオテクニカAT6012Xa

後発の猛烈な追い上げに加え、「フェア商品最初から品切れ問題」による客離れも手伝ってか、スシローがくら寿司とよく似たオーダー品直通レーンを遂に導入した。ちょっと落ち着いたスピードでやって来るのは「あちらのせっかちな関西魂とは違いますんで」と表明しているようにも見えて、よいと思う。
先にトップに躍り出た成功者といえど、自己点検と改善努力の継続なくしてその座に居続けることはできないものだなと感じる象徴的な変化であった。
掲題の件について先にワタシの結論を言うと、オーテクの勝ちです。

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ナガオカはレコード再生環境保守関連の小物をいろいろ出している老舗メーカー。「アルジャント」シリーズは半世紀前から存在するレコードクリーニングブラシの定番ということで、アマゾンのレビューなどはざっと見たうえ、その最新バージョンであるCL120(以下ナガオカ)をまずは購入した。
縦幅が短くLPの記録面をひと拭きでカバーできないという声も見かけていたが、どのみちしつこく何ストロークもやるのだからむしろ小回りがきいたほうがいいじゃんと思っていた。
特徴としては、短辺の片側が少し絞られた台形で、ブラシ面はほぼ平ら。ケースは置き台と透明カバーの2点構成。置き台には自分自身をそうじするための小さなブラシが生えている。

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あとから入手したオーディオテクニカAT6012Xa(以下オーテク)と対比して分かったことには、アルジャントの弱点はズバリ「平らなこと」と「カドがあること」に尽きる。
ブラシの布地は底面のへりを少し折れたところまでつながっている。まっすぐなブラシ面を真上から押し当てても、ちゃんと中央まで均等に力が行き届いているかどうかがわかりづらく、ついついへりの曲がり目で拭くために本体を若干傾けて持ってしまう。以前それで失敗して盤面上でブラシが転倒、持ち手の硬いところが当たって、間抜けなことにわざわざ盤面にキズをつけてしまった。

しかも傾け拭きを繰り返しているうち、一番頻繁に力がかかるカドの毛がちょっとはげてしまった。
うっかりこの部分でゴリーッとやってしまった日には、盤面をきれいにしているはずなのに本末転倒である。

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さすがに危ないので、代打としてオーテクを購入。
これがナガオカの小さな困りごとをすべて解消して余りあるすぐれた品だった。

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オーテクのブラシ面はなだらかに丸まっている。これがいろいろなメリットにつながっている。
ブラシ面と上下対称に作られた形状を利用して、本体をえぐるように持ち手が設けられており、横幅に対して高さが低くおさまっている。これによって力点が作用点と近くなり、うっかり転ばせてしまう危険も回避できている気がする。
一点に力がかかるようなカドも存在しない。これでどこかを局所的にハゲさせてしまうことはまずないだろうと思う。
そして、長辺が充分に長いのはやっぱりすごく楽。

オーテクは本体+置き台のみで、上からかぶせるカバーは無い。気になるチリ汚れは即刻ブラッシングしたくなる持ち主なら、どうせフタなど不要だから問題ない。
ナガオカでも透明フタを外しっぱなしにしておけばいいのだけど、置き台にフタをのせた状態でまっすぐツライチになる造形だから、外しておくと「フタ開いちゃってる」感がどうにもある(これは気にしない人はまったくスルーできると思うが)。

自己清掃用の機構はナガオカ同様、オーテクの置き台にもある。毛の立ったブラシではなくて、端っこに貼ってあるざらざらしたテープ(衣服の毛玉取りのようなもの)がそれにあたる。たったこれだけで、たまったホコリをてきめんに集めることができる。

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この手の乾式クリーニングブラシに対する購入者レビューで、たまに「ホコリが集まるだけで、ブラシがからめとってくれない。使えない」という感想を見かけることがあるけど、ホコリをしこたま抱き込んだブラシで別の盤にホコリを戻してしまうことのほうがイヤなので、この仕様で全然問題ない。
しかしながらオーテクは、毛足の絶妙な長さとRにより、若干量ならブラシ面がホコリを引き受けてくれる。これも思いのほか快適。

ということで当面はオーテクのほうを愛用します。
安上りにホワイトボードクリーナーで済ませようとしている人、それは全然意味ないです(実践済み)。


ナガオカのアナログ周辺グッズといえばもうひとつ、水洗い用のラベルプロテクターが有名。
以前それに似せたものを100均の材料+αで自作した。

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出来はそこそこで、端のほうにやっぱり多少の浸水がある。
つけおきをするくらいガッツリ濡らすなら、やっぱりきちんとした製品であるナガオカ製ラベルプロテクターが安心だろうと思う。

しかし自作の代替品で気付いたことには、ネジを回して締めて外して...というのが地味にめんどくさい。
浸さず流水を当てるだけの場合でも、完全ノーガードでは心もとないし、何かぱっと簡単にラベル部分を保護できる手立てがないものかと延々ダイソーやセリアをうろついた末、これに落ち着いた。

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シリコン製の、あったかい飲み物用の簡易フタ。位置を合わせてポンと置くだけなので圧倒的に楽。そうそうズレていかず、端っこは多少濡れるけど簡易的な水滴しのぎにはなる。直径があと1cm大きいのがあったら最高なのだけどなー。100均の開発担当さん、切実にお願いします。