2022/12/17

HEADHUNTER - A Bizarre Gardening Accident (1992)

ジャーマンスラッシュ三羽烏として日本でも人気が高いDESTRUCTION、ワタシはあまりハマったことがなく、好きな作品といえば90年代の自主制作時代の3枚、次いで「CRACKED BRAIN」。つまり緻密でヘヴィな作風であればあるほど歓迎で、トレードマークのベースヴォーカリスト、シミューアにあまり思い入れがない。

シミューアはツインギター体制でテクニカル化するバンドの方向性が嫌で脱退したという話だったはずで、その間に活動していたのがこのHEADHUNTER。スラッシュあがりの90年代メタル、しかも安定の持ち場を一時的に離れていたときの作品ということで、シミューア云々はさておいても自動的に気になる対象となるため(何せFIGHTやSKUNKWORKSが好物なもので)手放さず持っている。

音楽的にはDESTRUCTIONとはけっこう違って、高速ツービートはほぼ封印。雰囲気的にはVICIOUS RUMORSがもう少し禍々しくなったようでもあり、雑多さを増したOVERKILLともいえそう。90年代らしく制動性にすぐれた背景の黒いバッキングギターがキマッていて耳に心地良い。
DESTRUCTION時代は裏声を交えてヒステリックに乱高下する、パワフルかというとそうでもないスタイルであったシミューアは、ここではメロディをしっかり刻むヴォーカリゼイションを聴かせていて、アジテイターからシンガーへの進化がはっきりと示されている。
のちにDESTRUCTIONに復帰して以降は、ビリー・ミラノがS.O.Dでの煮え切らない中低音からビキビキに張ったパワフルハイトーンになったのと似たような変化が見られたものだけど、HEADHUNTERで歌にしっかり向き合った結果の体得物だったのかもしれない。

ちなみにバンド編成は初期(そして復帰後の)DESTRUCTIONと同じくトリオ。ドラムは初期RAGE~AXEL RUDI PELLを経て合流した仕事人ヨルグ・マイケル。その後もGRAVE DIGGERにRUNNING WILDにSTRATOVARIUSにと忙しい人。
ギターはここではシュムーデルと名乗っているウヴェ・ホフマン。セッションワークなどはほとんどせず、経歴は80年代に率いていたTALONとこのHEADHUNTERのみとのこと。
サンクスリストには同郷のKREATOR、ACCUSER、CHROMING ROSEなどをさしおいて、バンドとしては一番最初にスイスのPOLTERGEISTの名前が挙がっている。まさにシミューアの後任として「CRACKED BRAIN」期のDESTRUCTIONにレンタル加入するアンドレ・グリーダーを輩出したバンドだから、どういう人間模様だったのか興味深い。

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