2023/02/15

TAROT - For The Glory Of Nothing (1998)

TAROTといえば、その昔ラジオ番組「HEAVY METAL SYNDICATE」の公開録音(名古屋で開催してくれたため2度も行けた)で全員何かしらもらえるお土産として、今回取り上げるアルバムの前作「STIGMATA」のサンプル盤(国内発売元はゼロコーポレーション)をもらった思い出。懐かしい。その後フィメールVoオペラティックHMバンド・NIGHTWISHにもベースヴォーカリストのマルコ・ヒエタラが在籍しているということで「あのマルコがリーダーを務めるTAROT」という形でちらほら名前を見かけるようになったけど、個人的にはTAROTはTAROTである。

音楽的には、トニー・マーティン期のBLACK SABBATH的様式美をさらに筋肉質に鍛え上げたような土台に、北欧(出身はフィンランド)っぽいヒャーッとしたスペイシーなシンセ、90年代対応型の重心の低さを加えたような、概ね王道だとか正統派だとか言ってよいパワーメタル。しかしこのスペイシー成分とヘヴィネス成分の効きが抜群で、初期TAD MOROSEがガツガツ外向きになったみたいな風合い(?)は他にあまり見かけない彼らならではの個性。すこーしノルウェーのCONCEPTIONと相通じる感触もある。そして何といっても、しっかり厚いがオヤジくさくない、マーク・ボールズ似のパワフルなヴォーカルが最高。

よりオーソドックス寄りであった極初期よりも、歌唱の太さに曲のヘヴィさがついてきた「STIGMATA」以降のほうが彼ららしさが活きている気がする。ツーバススタスタやピロピロツインリードの類がない渋めで昔気質な部類でだから最近の耳にはウケが良くないかもしれないけど、キラキラケバケバしてなくて古すぎない正統派メタルをお探しの向きはご一聴をば。