2022/12/13

MOTHERLAND - Peace 4 Me (1994)

インスタで90年代メタルのちょっとマイナーなアルバムを上げては海外の猛者なコレクターからいいねをもらうだけのアカウント・metal_of_the_90sで投稿した作品に「投稿順に」レビューをつけていきますと宣言してしまったばっかりに、さして思い入れの強くないアルバムに行き当たったところで数か月止まってしまった。宣言を無視して最近投稿したやつについてひさしぶりに書いてみる。

ユニオン中古情報ページで発見した懐かしアイテム。90年代メタラーならBURRNIN' VINYLで見覚えがあるのではなかろうか。詳細は全然覚えていなかったけど、ドラマーがジェイソン・ボーナムで、なんならそのボンゾJrが80年代からやっていたBONHAMのボーカルだけ替えた変名バンドみたいな存在であった模様。BONHAMとしての最後のアルバムもチェックしてみたけど、そっちはあからさまにプラント風味のシンガーを据えた、KINGDOM COMEもびっくりのZEPフォロワーぶりで、そりゃ親のようにはいくわけないでしょという感がプンプンしていた。
そんな前歴を払拭するための配置転換であったと思われるので、このCDのハイプステッカーに「ジェイソン・ボーナムの新バンド!」みたいな文句はない。親父の七光を捨て去り、ここでは清々しくオルタナハードロック路線で勝負に出ている。

MOTLEY CRUEの最高傑作は?ジョン・コラビが参加したセルフタイトル作に決まっとろうが、という向きには完全にたまらない、ハードロック脳を残してかなり質の高いグランジ筋肉を身につけたザッツ90年代サウンドで、大変かっこよい。WIDOWMAKERの2ndほどのゴリゴリ硬質感まではいかないもののあんなノリの低速グルーヴあり、ALICE IN CHAINSの1st後半のような威勢のよいハネ感あり、BLIND MELON~CANDLEBOXにも通じるハードロッカー耳に馴染みやすい枯れ感もあり。
パワフルで汚しの効いたヴォーカルがまた良い仕事をしていて、キップ・ウインガーとザック・ワイルドの中間のような、いかつさ・くぐもり感とクリーンな伸びのよさの絶妙な使いこなしが素晴らしい。
そして何より「いいリフ・いい曲続いてるな~」と思いながら聴き進められる良質なフックの数々。ALICE IN CHAINSなりPEARL JAMなり特定の対象の模倣に走ることなく、売れ線バンドの提示したものを参考にしながらオールドロックへの理解を自力で90年代仕立てに転化する体力があった(と思われる)のが、凡百の雰囲気フォロワーと一線を画すところ。
FREAK OF NATURE、I MOTHER EARTH、3rd以降のSAIGON KICKなどが好きな人はマスト級の良作。

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