2023/01/29

格安ワイヤレスイヤホン、実際のところ

平日の昼休みやレコード屋店頭でちょっとサブスクやYoutubeを利用したいとき、カバンの中でクルクルとまとまったイヤホンのケーブルをほどいて、終わったらまた巻くという面倒にずっとギリギリ耐えていた。
当然「ワイヤレスイヤホンってあるよな~」となるのだけど、値段がピンキリすぎて落としどころがまったくわからない。
そうして数年間ギリギリ耐え続けるうちに、国内の小売チェーンの自社商品という体で1000円台前半のものが増えてきたようなので、出先でたまたま出会ったやつを「これでいいか」と買ってみた。その後3~4か月使い続けた今のタイミングで、使用感をレポートしてみたい。

ep1.jpg

販売元は、中高生女子~ギャル向け商品が豊富なサンキューマート(家族で大型モールに出かけた時の買い物なので...)。税別1,170円也。
といっても多分、一から独自に開発したものではなくて、ほぼ同じ中身が微妙なガワ違いでいろんなメーカーから売られているものの中の一つだろうと思う。違ったらすみませんが。

基本仕様

  • ケースを充電すると、そこからイヤホン本体が充電される
  • ケースからイヤホンを取り外すと自動的に起動する
  • スマートフォンとはBluetooth接続

というごく一般的なもの。そのほか、

  • 起動すると、一度つながったことのあるスマートフォンと勝手に接続される
  • イヤホン本体側面が押せるようになっており、1回押し/2回押し/長押しなどで再生・停止・音量上下などの操作ができる

といったあたりも珍しくはないのでは。
ちなみにスマートフォンと接続が確立されたときは英語で「Connected」という音声が再生される。

音質

昔一度買ったことがある有線の100均イヤホンと比べると全然マシで、これといってストレスはないレべル。しみじみと「意外と音いいな~」というのもないけど、どのみち自分の場合は何かをやりながら情報として音声を聞きたいという時にしか使わないので問題なし。

再生時間

スペック上はケースが最大8時間分、イヤホン単体では2時間程度となっている。
使い込まないうちにそれを下回ったという実感はなく、ここについても不便はない。
ケースの充電残量はイヤホン本体を取り外しする際にLEDで視認することができ、わかりやすい。

ということは?

全然これでいいじゃん、と思って使い続けていたある日、カバンから取り出しそこなってケースごと勢いよく落下させてしまった。
するとこの製品の脆さが露呈した。

ep2.jpg

ケース本体とフタは、フタから一体成型で生えているきわめて細いプラスチック棒で留まっているだけ。フタが開いた、または開きかかった状態で全体が吹っ飛ぶと、かかる力に耐えられるはずもなく簡単に折れる。
加えて、ケース本体も簡単に上と下がパカッと離れるようになっている。逆にパチっと閉めるのも簡単。
接続部が折れたフタであっても、被せておけばとりあえず本体にくっついていてはくれて、どうにか使えている。

ちなみに吹っ飛ばした時、イヤホン本体も同様に外装パーツが継ぎ目からパッカリと分離しかけた。それもすぐパチッと閉じて、その後は問題ない。もろくてタフ。

問題点

これらを踏まえて商品開発部に改善ポイントを指摘するとしたら、こう言いたい。

「強度的には手を滑らせたらオシマイなのに、形状も質感もめちゃめちゃ手を滑らせやすいです」

改めて最初の写真を見てもらうとわかるとおり、ケースは角がなく全体的にコロッと丸い。表面は粒子感があってサラついたツヤ消しというダブルパンチ。滑落させる前から「つかみにくいな」と思っていた。ついでにいうとカバンの中ではもっと平べったくあってもらえると助かる。
せめてストラップ穴的なものがあれば、キーホルダーをつけたり、何かしらの手立てでカバンとつないでおいたりできるのだけど、無い。
ストラップ穴のついたシリコンケースみたいなのに入れたら良いかもなと思って探しかけたものの、ケースを開けてまたケースを開けるあほらしさを想像した時点で踏みとどまってしまった。

どこかに凹部分を作る、多少なりとも滑りにくい材質にする、コロコロ丸くなく平べったい形にする、ケースフタの強度をもうちょっと上げる のどれかでも実現すれば、音楽再生やBluetooth接続にかかわる基本性能はこのままでも、「全然これでいいじゃん」になると思う。

ということは、もっと値の張る品を買おうとする場合でも、こういうごくフィジカルな弱点がないかどうか、気にして選んだほうがよいということでもある。安い品物でそこに気が付いてよかった。
外装の継ぎ目がそうそう簡単にはパカッといかなさそうとか、開閉部分は金属製のシャフトが使われているとか、そういう気配りがあるかどうか、検討の際にはできる限り現物または接写で確認することをお勧めしたい。

ついでに、この製品云々ではなく「とりあえず手頃なワイヤレスイヤホンを買おうと思っている」という人が気を付けるべき盲点として、「カナル型を装着しながら物を食うと、自分の咀嚼音が骨伝導でめちゃくちゃよく聞こえる」ということも注意喚起したい。
非カナルでもどっちでもこだわりは無いと思っている人は、自分が何かを食べながらイヤホンを使用するシーンがないかどうか、よく考えてから選ぶべき。

以上、誰かしらの役に立ちますように。

後日註

購入後1年経っていない9月現在、片側の電源が入らなくなってしまった(ケースから外すとLEDが一瞬点いてすぐ消える)。まあこんなもんかあー。