2021/02/23

音楽用USBケーブルは作れる

いきなりですが、作れます(作れていると思われます)。

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音楽用・オーディオ用を謳う市販品のUSBケーブルは存在する。もちろん基本的に高額。たまに比較的リーズナブルなものもあって、そっちのほうが1万近くするものより好みだったみたいな個人レビューも見つかったりして、どうなってるのかよく分からない。
デジタルデータを転送するUSBケーブルなんかで音質の変化があり得るのですか?いやある、みたいな問答の中身もいまひとつ分かったような分からんような。

そもそもUSBケーブルを通ってるのはほんとに必ずデジタルデータなのか。例えばiOS端末のライトニング端子に汎用イヤホンをさせるようにするステレオミニ変換ケーブル、あれは絶対にアナログな代物に違いない。ならばUSBでもアナログ音声が行き来することがあるのでは。つなぐ機器によるだろうけども。それなら音への影響があってもおかしくない。
とりあえず作れそうなものは自作してみるとする。


USBケーブル自作の施工要領は、ピンの数が多い(データ+、データ-、電源+、電源-の原則4ピン)というだけで、金属線を端子にハンダづけすること以外に特殊な工程はない。どのピンに何をつなぐかは、調べれば結構出てくる。
コンパクトなプラグの中にピンが密集しているため、まわりの樹脂を傷めないように手際よく、うっかり隣と短絡しないように施工するのがなかなかシビア。昔ながらのTypeA-TypeBはまだマシで、miniBやmicroは小さい分さらに地獄を見る。
今回は高級ケーブルで見かける仕様をまねて、データと電源で線材を分けてみることにする。(上の写真でも写っているピョロピョロした細い方が5V電源ライン)

データ用のラインには近頃ソルダーレスパッチケーブルの流行でにわかに人気が高まっている、個人的にも推しのカナレGS-4を採用。
GS-4はカナレの楽器用シールド定番であるL4E何々と全然タイプが異なり、まったくカマボコではなくトレブルよりもっと上が明瞭で、低域はドンと来ないながらも存在が感じられるくらいにはちゃんと出る。タッチノイズに強く、取り回しのよい細めの構造がまた最高。軽量でかさばらない。
けっきょく今試そうとしている環境でケーブルの中を通るデータが何なのか確証がないけども、GS-4はホット線のシールドが二重なので、ノイズの封じ込めが肝要なデジタルデータ用としても悪くない感じがする。

ちなみにプラグは、市販品のUSBケーブルのモールドされた両端をペンチで破壊し、中から摘出したものを再利用した。ホットボンドや熱収縮チューブなどを使ってしっかり固定すればひとまず使える。


慎重なる作業の末どうにか完成。音楽用USBケーブル作れました。
パソコンとUSBつきミキサーの間を、自作品とノーブランド品で交互に入れ替えてABテスト。しょぼいRCAケーブルをしょぼくないやつに替えた時と同様・同程度の差はあるような。
自分でハンゴウ炊きした米がうまいのと同じことかもしれないとしても、好きな線材でぴったりサイズに作れるのは精神衛生上大変よい。明らかにデジタルデータが通っているとしか思えないDACなんかに使うメリットはまったくわかりません。
マユツバかも知れんけど謎に極太な高額商品いっとこかな〜という方は、ポチッといく前に試してみてはどうでしょうか。くれぐれも変なところに5V突っ込んで機器を破壊しないようご注意をば。