2021/02/05

アナログプレイヤーを導入した(1/2)

【後日註:この記事は盤面のクリーニングが充分でないアナログディスクについての感想を含みます】

個人的には一大事。これまでずっと自重していたアナログに手を出すことにした。

昨年末の大掃除がうまくいって、ついでにずっと思いつかずにいたプレイヤー置き場の捻出方法を図のとおりひらいたため踏み切った。

コの字型のサイドテーブルを使って3次元で解決。脚はボックスセットや「BACK FOR MORE」全10冊(こちらの記事参照)がしこたま入った箱で押さえられており、うっかりブチ落とす心配もあまりないと思う。同様の悩みをお抱えの方がいたら試してみてもらいたい。

ちなみにプレイヤーは亡父が70歳祝いに自らリクエストしたもの。フォノイコ内蔵、USB出力があって再生音をそのままPCに取り込めたりする。
持ち主不在となって2年近く実家に放置されている間(もっとも生前元気なうちから放置気味ではあった)、これを拝借すればよいということを思いつきもしないくらいに、今まで特にアナログへの執着はなかった。というか警戒の対象であった。
CDだけですら酷い量の買い込み方をするのに、LPまで手を出したら空間的・財政的に破滅する...という懸念が最大の理由だったが、以前のように軽はずみなフィジカル音源購入をする機会がうんと減った上、サブスクの利用を始めたこともあって、もう大丈夫だろうという判断となった。
過去の判断にしたがって一線を越えないでい続けているCD愛好家諸氏は、もしLPの世界に確実に何かあるとも思っているのであれば、今一度現状の再検証をお勧めしたい(ほとんど高校時代の友人M田君に向けて言っている)。


大掃除ではプレイヤー置き場確保とともに、持ち合わせのちょっとした金具を壁に仕込んでLPジャケットを手軽に面出し陳列する方法も発見した。
基本的にはLP購入は無欲に、たまたま出会えたものだけ買っていこうと決めたところだったが、まず1枚目は敢えて飾る用の、ちょっと思い入れのあるやつを買い求めることとする。
それならと、GENESISの「THE LAMB LIES DOWN ON BROADWAY(幻惑のブロードウェイ)」のオンライン物色を開始。

せっかくなら適当な再発よりはオリジナルに近いものがいい。Discogsで探すと、リリース年に製造された本国盤が意外と手ごろな価格で出品されている。しかし状態説明をよく見れば、自称VeryGood+のコンディションなのに2枚組のうち1枚がないとか、あそこに破れ、ここに書き込み、ディスク1のA面以外は問題なく再生できる、などとさまざまな難があり、まともそうなものはやっぱり30ユーロ超えだったりする。74年の作品で世間的にも名盤だからそう甘くはない。

やっぱり日本の業者から買った方が、コンディションの表現に関してはこちらの想像とより合致するだろう。国内サイトも探すと、我らがディスクユニオンにまずまず手ごろな値段で在庫がある。
それがDiscogsに載っているどのイシューなのか?先述のM田君は、同じアルバムのプレス違いCDを3枚も4枚も買い集めては「WARNERとVERTIGOはやはり傾向の違いが...」的な情報を教えてくれる人で、彼の話からマトリックスナンバーの存在はかろうじて知っていた。ユニオンの商品詳細に書かれた謎の暗号らしき文字列がそれらしいが、パッと見では読み解けない。この書き方で分かるマニアがマーケットを成すくらいの人数いるんだなと思い知らされる。
結果、オリジナルではないが発売年のプレスで、かつ最初期版に混入してしまっているというハムノイズ(こんな話も初めて聞いた)が無くて音質最高!と喜びのコメントがついているバージョンであることを突き止めた。状態もB+ならきっと常識的な範囲内だろうと踏んで、購入。

到着した品を聴いてみると、今までリマスターのCDしか持っていなかったから、CDとLPの違い云々以前にマスターの違いで当たり前に音が違う。
高域を立たせてすべての要素をできるだけ最前面に揃えようとする「CD的ないい音」の方向性と違って、なまった音はなまったまま、平気でコンモリしてちょっと遠くのほうにいる。生楽器もさることながらアナログシンセの実機感がすごい。CDの欠点としてよく言われる「可聴域以上の高音成分」が切られていないだけでなく、超低域の起き上がりなんかも印象が違う気がする...
などなど、LPデビューあるあるをこの歳にしてひとしきり堪能。
ゲートフォールドの内面とスリーブケース表裏にびっしり書かれた歌詞とストーリーと謎めいた挿絵も初めて本物を見、感動する。レーベル面は片面がCHARISMAの帽子男のイラスト、裏面が粉砕したガラスの向こうに人がいるデザインのピクチャー仕様なのもリサーチどおり。おおおう。


実はその前に、アナログのみ限定発売だったからLPで買ってあったTILTS(ex.RIDDLE OF STEEL~TORCHE、現DEAD NOWのアンドリューが在籍した)のアルバムも試し聴き済みだった。
しかしそれはさほど感動しなかった。録音もミックスもデジタルで制作された音源だと、アナログでしか聞こえない音なんてそもそも入ってないんじゃないか?と、1stの音を聴いてちょっと拍子抜けすらしていた。
2ndは後日別のタイミングで確認して、そっちは前作ほどコンプがきつくない音作りのためか、比較的アナログらしい傾向の音がするように思えた。録るときに194kHz/32bitとか何とかあるもんな。(疎い)

とはいえ敢えて大きなLPで持つなら、アイドルファンにとっての生写真と同じ心理で、オリジナル演奏の波動をキャプチャしたものの写しの写しの...(略)...の写しであるはずのオールアナログ制作音源のほうがよりいいだろう。ファンなら一度は本人の影に相まみえたい。M田君も絶対リッチー・ブラックモアやKANSASの影に会ったらよいと思う。
濫買を踏みとどまる線は多めに引いておかないと危ないので、このことは今後の購入ポリシーに追加。

長くなったのでいったん区切ってみる。ここまでは順調編。続きは(2/2)で。