2026/02/01

LOST CITY「WATCHING YOU」(1993 SCOTTI BROS.)

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ジャケの記憶以上の素性は何も知らずにいた、どこまでも90年代ネタな1枚。
今調べると、ジンジャー・ベイカーの息子のコフィが在籍していたバンドとしてもっぱら語られているらしい。Discogsで調べる限り、そこまで華々しいキャリアではなかったようだが、クリス・ポーランドのOHMのメンバーだった時期があったり、ショーン・レインとヨナス・ヘルボーグと組んで1枚残している模様。

内容の方はまさに90年代の小トレンドを丁寧につついていて、好き者には大変嬉しい。
まず演奏・音質ともに非常に垢抜けている。ヴォーカルはSKID ROWフォロワー系のバンドにいたとしても大活躍したであろう、青々しさと荒くれ感の両方いける大器。1曲目からインパクト大のQUEENオマージュ(※フレディ・マーキュリー死去に伴うトリビュートイベント等で再評価熱が高まっていた)なビザール曲で、そこにケヴィン・ダブロウ(QUIET RIOT)似の青筋系歪みが乗ってきて最高。2曲目、打って変わってインテリグランジテイスト。ロバート・プラントの「FATE OF NATIONS」冒頭曲"Calling To You"を彷彿とさせるナイスな時流サーフを見せる。さっきと全然違うけどかっこよい。3曲目、"Satirway To Heaven"風のシケシケAマイナー(ツェッペリンもグランジ時代の70年代回帰ブームとたまたまタイミングが合致したリマスタープロジェクトで礼賛モードにあった)。プラント似の歌もなかなかいける。
その後もBLIND MELONを難解変拍子化したような曲や、エレクトリックシタールが入るオリエンタルな曲などでツェッペリンのいろんな面をコスっていて、結局のところ全体的にはそこが基本の下地になっているようだ。QUEENチルドレンかと思わせる冒頭曲は何だったのか(いちおう10曲目に再びそれっぽい曲は出てくる)。
通り一遍の物真似ではなく、数えにくいコブのようなツェッペリン独特の半端拍子をナチュラルにものにしているうえに、ボーカルがとにかく堂に入った表現力で終始頼もしいので、フック云々というタイプの作風ではなくとも体感的な充実はずっと持続する。たぶんルー・フィリップスという人がシンガーだと思うのだけど、Discogsで拾えている参加作品がわずか3枚のみとのことで非常に惜しい。しかしその2枚というのが、片方は10年度の2023に制作されるコフィ・ベイカーのそろでなんとブレット・ガースド(ジョン・ファーナムのバックからNELSONに参加しその後バカテクフュージョン界隈で活躍するオーストラリアのギタリスト)が参加、もう1枚がビル・ワード(BLACK SABBATHのドラマー)の89年ソロとの事で、どちらも俄然気になる。
ドラムは楽曲性を押しのけてまでやり手感を誇示するわけではないが、ちょっと目を向けると高難易度な小技をみっちり詰めていることが判る感じがALICE IN CHAINSのショーン・キニーあたりに近い。他の作品にもあたってみたいところ。

このジャケにピンと来る中年以外には、持ち合わせるどの琴線にも全く触れない可能性が高い気もするが、ピンと来てさえいるのなら、探して手に入れても損はない好作。ポップなフックのことはさておいて、ひたすら愚直に好き者のクラシックロックを追求していてもSCOTTI BROTHERSみたいな大手からリリースできていたというのは、何とも大らかな時代だと思う。